博物館ノート

用具の移り変わり

郵政事業の変遷

郵便箱場旗(はこばき)

郵便ポストが設置されている場所を「箱(函)場」といいました。その場所を、遠くからでも目につくように立てた旗です。「郵便フラホ」ともよばれました。

郵便箱場旗(はこばき)

八角時計

郵便物を時間どおりに取りあつめたり運送したりするため、明治7(1874)年から全国の郵便役所や取扱所に配備しました。当時は時計がめずらしかったので、郵便局に置かれた時計を見るために局を訪れる人もいたといいます。

八角時計

正午計

磁石を使って、太陽が真南を通過する時刻(正午(しょうご))を調べる道具です。当時の時計はくるいやすかったため、時刻の点検や修正に使ったもので、ふたの裏には経度差による時刻のずれを直す表が付いています。

正午計

手動はかり

郵便は重量によって料金が変わりますので、はかりは必要な用品でした。西洋はかりの使用も早く、明治初期から主要な郵便局に配備されました。このはかりは、明治10年代に使用されたもので、「駅逓局」(えきていきょく)の刻印があります。

手動はかり

郵便用上皿棹秤(うわざらさおばかり)

アメリカで製造されたものですが、日本で使用するために目盛りの付いた棹の部分を改造しました。匁(もんめ)(3.75g)の目盛りが付けてあり、この秤で300匁まではかることができます。

郵便用上皿棹秤(うわざらさおばかり)

局前灯器

局前に設置した六角形の点灯器で、ガラスに朱色(しゅいろ)のペンキで、局名と記章を書き入れました。大きさに大小の区別があり、大形は1・2等局、小形は3等局で使用しました。

局前灯器

郵便ラッパ

郵便の逓送(ていそう)、集配、電報配達などのときに猛獣からの危害を防いだり、渡船場(とせんば)で船頭を呼ぶために使用したものです。使用する場所は、あらかじめ通信局長の承認を受けることになっています。

郵便ラッパ

手提灯器(てさげとうき)

夜間の郵便物集配の際に携帯(けいたい)したもので、灯火にはロウソクや種油を使用しました。鉄板製で、前面にガラスをはめ込み、脇(わき)には〒のマークが付けてあります。

手提灯器(てさげとうき)

馬車角灯

明治・大正時代には、局駅間の郵便物の受け渡しなどに郵便馬車が使われました。しだいに自動車にかえられ、東京市内では大正15(1926)年に姿を消しました。この大型の灯器は、郵便馬車に取り付けてあったものです。

馬車角灯

汽車郵便用かばん

郵便車の乗務に使用したかばんです。かばんに書かれた「汽車郵便」ということばは、明治20年代初めまで使われ、明治22(1889)年ごろから「鉄道郵便」という名称に変わっていきました。

汽車郵便用かばん