博物館ノート

制服の移り変わり 〜郵便を配達する人〜

郵政事業の変遷

創業期の制服

明治4(1871)年4月20日に、新しい郵便制度がはじまりました。紺色(こんいろ)の「法被(はっぴ)」に「竹の子笠(がさ)」、「股引き(ももひき)」、「脚絆(きゃはん)」、「わらじ」という服装でした。翌年には、「韮山笠(にらやまがさ)」と洋服になりました。襟(えり)とズボンに赤い線を入れ、笠と袖(そで)には「丸に一引き」の最初の郵便マークを付けました。

郵便創業時と明治5(1872)年の制服

明治20年代の制服

明治20(1887)年に「〒」字型が逓信省の徽章として制定され、丸笠(まるかさ)の正面や上着の袖口(そでぐち)に「〒」マークが付きました。ズボンは「半袴(はんこ)」とよぶ半ズボンに変わり、脚絆(きゃはん)を着用するようになりました。

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明治40年代の制服

明治42(1909)年に、新しい型の制服が決まりました。学生服に似(に)ています。袖口(そでぐち)の「〒」マークがなくなり、紺色(こんいろ)で約1.5cmの太さのラインを袖の先に付けました。胸章(きょうしょう)と襟章(えりしょう)も付けるようになりました。また、それまでの丸笠(まるかさ)から、帽(ぼう)へと徐々(じょじょ)に変わり、この年から洋服と帽というスタイルに統一されました。

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大正11年からの制服

第一次世界大戦の影響を受けて、制服も品質を落としたり、大量調製(生産)するなどの苦労がありました。大正4(1915)年にそれまでの脚絆(きゃはん)の代わりに、軍隊で使う「巻きゲートル」を使ってもよいことになりました。夏服の場合、通常はヘルメット型の夏帽(なつぼう)ですが、暑い地方では「カンカン帽」とよばれた麦わら帽を着用しました。

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戦前の制服

昭和になると、制服をより合理的、経済的にまとめて購入(こうにゅう)するための試行(テスト)や改善がおこなわれました。昭和6(1931)年、夏服の上着は詰襟(つめえり)から折襟(おりえり)となりました。そして、色も熱を吸収しにくく、汚(よご)れにくい青茶褐色(あおちゃかっしょく)に変わりました。昭和13(1938)年には、半袴(はんこ(半ズボン))を廃止(はいし)して、長袴(ちょうこ(長ズボン))に統一しました。

 

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戦中の制服

昭和16(1941)年に太平洋戦争がはじまると人員不足が深刻化し、女子集配員が多数採用されるようになったため、女子用の制服がつくられました。ベルト付きの上着と裾(すそ)に絞り紐(しぼりひも)の付いた冬用の長袴(ちょうこ(長ズボン))、夏用のキュロット型スカート風のひだ付馬乗式袴(はかま)の組み合せでした。戦争が激しくなると物資不足は深刻化し、被服の補充がむずかしくなり、とても苦しい時代を過ごしました。

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昭和26年からの制服

昭和24(1949)年に郵政省が誕生しました。物資は不足し、インフレ(物価が上がり続ける状態のこと)もつづきましたが、新しい社会への改革(かいかく)もすすめられました。帽章(ぼうしょう)は翼を広げた鳩(はと)に変わりました。昭和26(1951)年には、「袴(はかま)」の名前が「ズボン」に変わり、現代的なスタイルになりました。男子の上着は開襟(かいきん)の4つボタン、アウト式ポケット付のものとなりました。また長ズボンにもポケットが付きました。昭和31(1956)年には、女子夏服が改められ、初めてスカートが登場しました。

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昭和38年からの制服

昭和30年代後半は、高度経済成長の時代をむかえ、制服も役所のイメージから変わり、近代的なデザインにすることが試みられました。昭和38(1963)年には、制服を青味灰色(あおみはいいろ)にし、男子用はセンターベンツで襟(えり)やズボンを細くし、内ポケットを付けました。女子用は3つボタンの開襟(かいきん)でポケット付き、前ひだ付タイトスカートか長ズボンを使用しました。昭和41(1966)年には、明るい感じのダークブルーに変わりました。

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昭和63年からの制服

昭和63(1988)年秋から、ブルーとグリーンのミックス調の色でブレザー型のスタイルに一新しました。男子用は3つボタン、サイドベンツ付き、ブルーグリーンと白のストライプの立襟(たてえり)ワイシャツに変わりました。女子用は2つボタンでテーラードカラーのジャケット、エンジと紺色(こんいろ)のリボンタイ、スラックスにあらためられました。超(ちょう)特急郵便、特急郵便用の制服も、特別にデザインしたものができました。平成3(1991)年には、ネクタイとリボンタイにピエール・カルダン氏のデザインを採用し、女子職員にはリボンタイと組み合せた「ポケットチーフ」も取り入れました。平成4(1992)年にはさらに2種類増やし、いずれかを選ぶようになっています。

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平成15(2003)年〜

平成15年4月1日の日本郵政公社発足に合わせ、15年ぶりに新しいユニフォームになりました。デザインは、公募による作品1,432点の中から、服飾専門家等の審査、郵便局職員等のアンケート結果等を参考にして決まりました。
制服は、男女共に上下とも紺色で上着は機能性を重視した前ファスナーのブルゾンタイプです。
上着の襟にはブルーのアクセントを付け、左胸には郵便局のロゴマークをエンブレムとして付けました。
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平成19(2007)年〜

新会社4社のユニフォームは、現状の環境調査や機能面など、様々な観点から調査・検討を行った上で、デザイン開発を行いました。そのデザイン案をもとに職員アンケートを行い、今回のデザインを決定いたしました。
なお、郵便事業株式会社と郵便局株式会社は、平成24(2012)年10月に合併し、日本郵便株式会社と社名変更をしています。

郵便事業株式会社

ネイビーにゴールドを配したカラーリングで、スピード感、ファッション性、スポーティーな印象に仕上げました。ゴールドのアクセント配色部分には、夜間走行時の安全面に配慮して反射材を使用しています。右胸に新ロゴマークを配したエンブレム、背面にプリント、右袖及びキャップに〒マークを配しています。

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郵便局株式会社

新しいシンボルカラーのオレンジをアクセントに施した、チャコールグレーのスーツスタイルです。
右胸に新ロゴマークを配したエンブレム、右袖には〒マークを配し、また襟元・袖口にシンボルカラーのオレンジを施しています。
ネクタイ/タングタイにも新会社のイメージを織り込みました。女性用のベストとスカートはオレンジのストライプとなっています。

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株式会社ゆうちょ銀行

新しいシンボルカラーのグリーンをアクセントに施した、ネイビーのスーツスタイルです。
右胸に新ロゴマークを配したエンブレム、右袖には〒マークを配し、また襟元・袖口にシンボルカラーのグリーンを施しています。
ネクタイ/リボン等にも新会社のイメージを織り込みました。女性用スカートはマーメイドラインとし、やさしさを表現しています。

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株式会社かんぽ生命保険

新しいシンボルカラーのブルーをアクセントに施した、ネイビーのスーツスタイルです。
右胸に新ロゴマークを配したエンブレム、右袖には〒マークを配し、また襟元・袖口にシンボルカラーのブルーを施しています。
ネクタイ/リボン等にも新会社のイメージを織り込みました。女性用のベストとスカート、キュロットスカートはブルーのストライプとなっています。

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