博物館ノート

鉄道郵便車

収蔵品

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明治期における鉄道の発展はめざましく、明治22年に東京・神戸間(東海道線)が開通、明治24年には東京・青森間(東北本線)が開通するなど次々と延長され、明治25年4月からは鉄道郵便車内においての郵便物区分事務が開始された。その業務は拡大し、車内での区分取扱区間も増加した。
しかし、当時の鉄道郵便車両は小型の木製車が使われており、揺れが激しく、暖房設備も貧弱なものであったため、作業する職員の苦労は並大抵のものではなかった。
坂野鉄次郎は、その劣悪な環境を憂慮し、車両の性能向上を求め、明治38年に一般客車と同様の高性能な郵便専用ボギー車が製作された。この車両は、約60m3の大型車で、通風装置、電燈照明が設けられ、車室は通常郵便取扱室と小包郵便取扱室に区分されていた。その中心部には二等客車に準ずる休憩室があり、便所や洗面所が備えられていた。