博物館ノート

引札の中の郵便

収蔵品

「引札」は、江戸時代から大正時代にかけて、商品や店の宣伝のために作成された周知印刷物(チラシ広告)です。商店等が店先に掲出したり、店先で配布したり、新年のごあいさつ用として使われることも多かったようです。特に明治・大正期の引札は、強い色彩と大胆なモチーフの組合せが目を引きます。
「引札」には、目新しいものや話題になっているもの、めでたいものが載せられ、「郵便早見表」「郵便配達夫」(図1)や「ポスト」(図2)、などもしばしば登場しました。郵便配達夫やポストは、当時目新しく話題性の高いものとして捉えられていたことがよく分かります。
図1の「引札」には、恵比寿様や大黒様が扮する郵便配達夫が自転車に乗って郵便を運んでいる姿が描かれていますが、その福々しさは、まさに「福は郵便に乗ってやってくる」と言わんばかりです。

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図1 引札「味噌溜製造 海野隼一」
明治44(1911)年

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図2 引き札「山屋呉服店」
大正9(1920)年